Lomo MC-A、PENTAX 17、Rollei 35AF——同じフィルムをどう使い切るか

フィルムカメラ
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3002 文字

36枚撮りの35mmフィルムを一本入れる。

PENTAX 17なら、撮れるのは約72コマ。Lomo MC-AとRollei 35AFなら36コマである。同じフィルムを使っても、PENTAX 17は一コマを24×17mmに分け、あとの二台は24×36mmを使う。

三台の比較は、AFや価格の優劣から始めるより、この違いから始めたほうがよい。一枚の面積を取るか、一本から撮れる回数を取るか。ここを決めると、ピント方式や露出モードの意味も見えやすくなる。

この記事の前提

筆者は三台を長期所有していない。2026年7月28日に確認した公式製品ページと取扱説明書から、仕様と購入条件を比較する。AF精度、レンズ描写、巻き上げの感触、耐久性は、実機を同条件で試していないため順位づけしない。

まず、確認できる違い

項目Lomo MC-APENTAX 17Rollei 35AF
画面寸法24×36mm24×17mm24×36mm
36枚撮り1本の目安36コマ約72コマ36コマ
レンズ32mm F2.825mm F3.5(35mm判換算37mm相当)35mm F2.8
ピントLiDAR AF、5段階ゾーン6段階ゾーンLiDAR AF
最短設定距離0.4m0.25m0.7m
露出プログラム、絞り優先、マニュアル7種のプログラム、露出補正、Bオート、マニュアル、長時間露光
内蔵フラッシュありありあり
巻き上げ・巻き戻し手動手動手動
公称重量332g(電池・フィルム除く)290g(電池・フィルム除く)242g(電池除く)

最短設定距離だけで「最も寄れる写真」を決めることはできない。画面寸法と焦点距離が違い、同じ距離でも写る範囲が異なるからだ。ここでは、被写体へ近づくときに各機種がピントを設定できる下限として読む。

同じように、LiDARという言葉だけでAF精度は比較できない。LomographyとRolleiはどちらもLiDAR AFを掲げているが、測距点の選び方、低照度、動く被写体、ガラス越しでの挙動を同条件で示す一次資料は確認できなかった。仕様表から言えるのは、MC-AとRollei 35AFは距離設定をカメラへ任せられ、PENTAX 17では撮影者が六つのゾーンから選ぶことまでだ。

PENTAX 17——一枚を小さくして、回数を増やす

PENTAX 17の画面は24×17mmで、フィルムを通常の向きに送ると縦位置になる。公式ページは、36枚撮りで72枚、24枚撮りで48枚を撮れると説明している。

この倍増は、単純な節約だけではない。現像へ出すまでの一ロールが長くなり、横位置で持ったまま縦の画面を作る。二枚を組み合わせるか、一枚ずつ読むかによって、撮り方も後の見せ方も変わる。

代わりに、一コマの面積は24×36mmより小さい。どの程度の粒状感や拡大余裕になるかは、フィルム、露出、現像、スキャン、出力寸法で変わる。仕様だけから「画質が悪い」とは決められないが、同じフィルム上で使う面積が小さい事実は残る。

ピントは0.25m、0.5m、1.2m、1.7m、3m、無限遠の六段階から選ぶ。AFの合焦を待つ代わりに、撮る前に距離を読む。露出はプログラムAEが中心で、露出補正はできるが、絞りとシャッター速度を任意の組み合わせで設定するフルマニュアル機ではない。

PENTAX 17が合うかは、半裁を安価な代替と見るかでは決まらない。一枚を小さくする代わりに、撮影回数と縦位置の連なりを得たいかで決まる。

Lomo MC-A——ピントも露出も、途中で自分へ戻せる

Lomo MC-Aは24×36mmの画面に、32mm F2.8レンズを組み合わせる。ピントはLiDAR AFに任せることも、0.4m、0.8m、1.5m、3m、無限遠のゾーンから選ぶこともできる。

露出はプログラムオート、絞り優先、フルマニュアルの三方式である。最初は露出もピントもカメラへ任せ、必要な場面だけ絞りや距離を自分で決められる。多重露光、先幕・後幕シンクロ、外部フラッシュ用PC端子もある。

機能が多いことは、そのまま長所ではない。設定を触らずに撮る人には使わない機能が増え、332gという公称重量は三台で最も大きい。反対に、AFからゾーンフォーカスへ、プログラムから絞り優先やマニュアルへ移りたい人には、同じボディの中に選択肢が残る。

ここで確認できるのは、操作の余地が広いことまでだ。「長く飽きない」「初心者にも失敗がない」とは言えない。機能の多さが自分の撮影で働くかを、購入前に具体的な場面へ当てはめたい。

Rollei 35AF——35mmと小さな外形を優先する

Rollei 35AFも24×36mmで、35mm F2.8レンズとLiDAR AFを備える。公式仕様の外形は104×75×56mm、公称重量は電池除き242gで、三台の数値上では最も軽い。最短撮影距離は0.7mである。

露出はオートとマニュアルに対応し、通常のシャッター速度は1秒から1/500秒、長時間露光モードは最長60秒とされている。内蔵フラッシュ、手動巻き上げ・巻き戻し、OLED表示も備える。

旧稿では、これらの仕様から「最も質感がよい」「新品だから安心」と評価していた。しかし、外観写真と素材の説明だけでは、ダイヤルの感触や組み立て精度は比較できない。新品と二年保証であることも、AF精度や長期耐久性の証明ではない。

Rollei 35AFを選ぶ根拠として残せるのは、35mmの画角、三台で最も小さい公称幅、軽い公称重量、AF、マニュアル露出である。0.7mより近い被写体を頻繁に撮るなら制約になり、35mmの距離感と小ささを優先するなら候補になる。

価格は、同じ地域と保証条件で比べる

2026年7月28日に公式ページで確認できた表示は次の通りだった。

機種公式表示地域・条件
Lomo MC-A69,880円日本公式ストア、税込
PENTAX 17107,000円日本の希望小売価格、税別(117,700円相当)
Rollei 35AFHK$6,240香港ドル表示、送料・税は決済時に計算

この三つを為替換算して、安い順に並べることはしない。Lomo MC-Aは直販価格、PENTAX 17は希望小売価格、Rollei 35AFは別地域の直販価格で、税、送料、返品、保証窓口がそろっていないからだ。

旧稿では米国のPENTAX 17とLomo MC-A、香港のRollei 35AFを同じ列に置き、PENTAX 17を最も買いやすいとした。日本の公式表示では価格関係が異なる。地域を変えるだけで結論が入れ替わる比較は、製品の優劣として使えない。

購入時は、居住地域から実際に買える窓口で、本体価格、税、送料、保証期間、修理の送り先をそろえる。価格は記事の勝者を決める数字ではなく、自分の購入条件へ戻して初めて使える。

実写なしで決められること、決められないこと

三台を同じフィルム、光、現像、スキャンで比較していないため、レンズ描写の順位は付けない。メーカー作例も、使用フィルムや後処理の条件がそろわなければ横並びにはできない。

AFについても、メーカーが「速い」「正確」と書いていることと、実際の歩留まりは別である。動体、逆光、暗所、ガラス越し、画面中央から外れた被写体をどう扱うかは、同条件の試写が必要だ。

操作感と質感も同じだ。金属部品の有無や重量は確認できるが、巻き上げの抵抗、シャッターボタンの深さ、ファインダーの見やすさ、鞄から出すときの収まりまでは仕様表にない。

分からない点がはっきりすると、購入前に試す場面も絞れる。

  1. 普段使う距離で人物と卓上の物へピントを合わせる。
  2. 日向と室内で、露出モードを変えずに撮影の流れを確認する。
  3. ファインダー内の警告や合焦表示を、自分の視力で読めるか見る。
  4. 一本分を持ち歩くつもりで、重量、厚み、巻き上げを確かめる。
  5. 同じフィルムを一本ずつ通せるなら、同じ現像・スキャン条件で比べる。

触れないまま買う場合は、仕様から確認できない項目を「よさそう」で埋めず、返品条件と保証窓口を先に確認する。

選択を分ける条件

PENTAX 17が合う条件は、一ロールから多く撮りたいこと、縦位置の半裁を使いたいこと、距離を六つのゾーンから自分で選ぶことだ。24×17mmの画面とプログラムAEを制約ではなく、撮影回数へ振った設計として受け入れられるかが分かれ目になる。

Lomo MC-Aが合う条件は、24×36mmで32mmの画角を使い、AFとゾーンフォーカス、プログラムと絞り優先とマニュアルを一台で行き来したいことだ。多重露光や外部フラッシュを実際に使うなら、機能の広さが働く。

Rollei 35AFが合う条件は、24×36mm、35mm、AFを優先し、三台の中では小さく軽い公称値を選びたいことだ。0.7mの最短距離が用途を妨げず、購入地域の保証と修理窓口を確認できることも条件になる。

別のカメラが合う条件もある。レンズ交換、TTLファインダー、確実な近接、同条件で蓄積した長期レビューが必要なら、この三台を新品という理由だけで急いで選ばなくてよい。

一台の勝者を決める必要はない。PENTAX 17は一コマを小さくして回数を増やす。MC-Aはピントと露出をカメラへ預けたあと、自分の手へ戻せる。Rollei 35AFは35mmと小さな外形にまとめる。

36枚撮りを入れたあと、72回の小さな画面を作りたいのか、36枚を広く使いたいのか。そこへ、ピントと露出をどこまでカメラに任せたいかを重ねれば、選ぶ一台はかなり静かに決まる。

出典と更新

2026年7月28日更新。地域の異なる価格を使った順位、実機で確かめていない質感・AF・描写・長期信頼性の評価、Lomo MC-Aを勝者とする結論を削除した。画面面積、ピントを合わせる責任、露出へ介入できる範囲を基準に、選択条件を組み直している。

一ロールあたりの費用を考える場合は、フィルムカメラのランニングコストを下げる方法もあわせて読みたい。新品でも修理受付と保証を分けて考える理由は、直せるカメラ、直せないカメラで整理している。